川風や 老鶯の声 吹きぬける 作為
ぽかんする どしゃぶりの空 彼の地では 星一
青茅の輪 五臓六腑を 引き締めて ひろし
御神燈 さゆらだもせず 五月闇 ひろし
惜春や たんぽぽの稲が 揃い踏 道心
商いの 資本(もとで)は信用 春袋 道心
独り居で 楽や寂しさ 時鳥 道心
卒寿すぎ 精神的な 更衣 道心
売り買いの 丁々発止 博労かな 道心
純粋に 想い起こせば とんぼ狩り 道心
主のごと 横切る蜥蜴 鎌の先 はるこ
無事着の スマホ光りて 髪洗う はるこ
明滅の 恋の行方や 蛍飛ぶ はるこ
涼を呼ぶ 社のアジサイ タライ舟 松子
ラジオ体操 初割りスイカ 梅雨晴れ間 松子
夏越の輪 くぐりてコロナ 消す願い 松子
長雨と コロナに負けじと ベランダで かすかに見えし 遠き青空 まちこ
散歩道 たどりついたる 杜の中 ベンチに掛ければ 日暮しの声 まちこ