杜の池 真鯉群れなし 秋食くす すみれ
やなのアユ 子等取りあいで 声放つ たけし
黄葉に 靴底滑らせ 寒近し 水芭蕉
往く人の 影踏みつつ 秋を知る 水芭蕉
栗飯の 弁当持ちてや 園に入る たけし
渡り鳥 二羽おそろいで 池に坐す 旅人
潮騒を 食べつくしたり 伊豆の秋 孝和
茶話の 輪がゆらめきて 鳳仙花 群すずめ
渋柿と 思い吊して 風情かな 松子
彼岸花 葉見ず花見ず 今は花 秋月
落葉掃く 猛暑を想い 秋きたり ボランティア
コスモスや 疾風の色に 染まりゆく 詠人しらず
雲の間の 日の丸仰ぎ 秋暮れる 道心
亜熱帯 たえてにわかに 秋の風 すぎの
残月の 夕顔ひとつ 濡れ匂う 静穂
秋風に さっとなびくや 水引草 静穂
秋風や 祭りの熱気 ふき流し 仁
腹式の はく息細く 露おびて 心しずかに ととのえりけり 静穂