静かなる 池の水面に アメンボー 孝和
夏の夜や 涼風吹きぬ ビヤホール こぼり
脱け殻を 庭にのこして どこで鳴く 孝和
寿の 空気醸して 夏座敷 祐
暑き風 少しやわらぐ せみしぐれ 舞
夫婦杉 一人微えむ 蝉しぐれ みえこ
茄子の牛 恩讐越えて 七十年 祐
七十年 戦後の里に はぎの花 もりと
みそ萩を たばねて御霊 迎えけり 高齢者
戦地にて 母を求める 声悲し すぎの
鯉さがす 男児の顔に 秋の風 もりと
ヘルペスと 言う名の病い 鯉の逝く こぼり
むれ泳ぐ 緋鯉・眞鯉の姿なく 池面をゆらす 初夏の風かな こぼり
早朝に セミ、アリ、モグラ 巣をながめ 社の森に 涼を求めて 松子
早や三年 八幡の森の せみしぐれ 心にしみる 君の面影 葉風