ウォーク いつも放さぬ 冬帽子 仁
何だろう 何か忘れて 師走かな 仁
寒茜(かんあかね) 富士の稜線 並び立つ 仁
通学路 子等おはようと 元気よく こぼり
大寒(おおさむ)や 着太りし子等 学舎に こぼり
年の暮れ 遊ぶ子のない 園整備 つむぎ
氏子らの 三日目といふ 落葉焚 つむぎ
野鳥撮る 男こそりと 落葉踏む つむぎ
各々に お参り拝す 大晦日 富江
朝の雪 湯宿にけぶる 古希の膳 吉
落日に 人生の秋 重ねみる 吉
年の瀬に 感謝をこめて 手を合わす 風
名札つけ 親子のつぼみ 菊ひらけ 松子
七五三 御殿大輪 祖父母の笑み 松子
ひ孫見て 御殿菊園 大輪の笑み 松子
秋の郷 まぶたに浮かぶ 汽車の街 松子
年明けて いよいよ古稀に なりし夕 髙木
琴を聴き 破魔矢を抱いて 年迎ふ 吉
神木の 樹齢は千余年 初日さす 吉
七年を 祈り運びて 初春(はる)迎へぬ 舞
すずなりの 柚輝きて 初詣 舞
結で逢い 燃えつつ過ぎぬ 柚の社 風
何時からか 俳句の杜と名付けては 通うふたりの 心はずみむ 舞
実家の戸 四十五年の年輪愛 新顔のぞけり 笑みの晩秋 松子
人の世の 喜怒哀楽の ありたれど 米寿の祝 有難きかな こぼり